『絵を見る技術』と
写真編集・SNSマーケ
最近、筆者が読み進めている本が、朝日出版社の秋田麻早子さん著『絵を見る技術』です。
名画の構造(主役はどこ?なぜこの配色?など)を読み解きながら、絵を観察する力を高める本です。
↓とても素敵な本で、これまであまり本を読んでこなかった筆者でも、楽しく読み進めているので、本当におすすめです!
※本の中でのキーワードなど、概要を少し取り上げながらこの記事を執筆するため、(一部ネタバレを含む為)これから読むご予定のある方は以下の文章を読まないでください。
まだ、進捗は全体の1/4程度ですが、この本を読んでいると、写真編集やSNSマーケティングに応用できるなと感じたので、今日はそこの部分を絡めながらお話したいと思います。
キーワード:フォーカルポイントって?
この本での重要なキーワードとして、「フォーカルポイント」というワードが出てきます。
これは、「=焦点」です。つまり、その絵画のメインになるもの。

例えば、上記写真であれば、一目瞭然、高瀬貝の作品がフォーカルポイントです。
このフォーカルポイントを見つけるポイントはいくつかあります。
例えば、写真や絵の真ん中に位置していたり、明暗が激しかったり…などなど。
上記写真では簡単ですが、絵画となると奥が深く、本書に掲載されている絵でのフォーカルポイントを見極めるトレーニングは、本当にためになります。
フォーカルポイントの集中度って?
フォーカルポイントは、絵画でもそうですが、一目見てわかりやすい方が絶対良いというわけではありません。
例えば、漠然とした印象や雰囲気を伝えたい時には、一箇所にメインが集中しているよりも、分散している方が適していたりします。(分散型)
絵画で言うと、分散型の代表画家はジャクソン・ポロックが挙げられます。
一方で、分散型の反対、集中型の代表画家はカジミール・マレーヴィチが挙げられます。
比較してみると、主役の描かれ方が正反対ですよね。
この分散型のポロックと集中型のマレーヴィチの間にほとんどの絵画が存在しているようです。
分散型か集中型かは、時代のトレンドにも大きく関わっており、どのような絵が好まれたかと言う視点は絵画にとても反映されています。
応用1:作品の世界観に合った、写真を撮影したい時!
では、このフォーカルポイントの分散と集中を意識して、(ハンドメイド)作品を販売する際のSNS写真を考えていきましょう!
<集中型>が適している作品
集中型が適している作品とは、どのような作品でしょうか。
例えば、大きな作品や写す対象が1つの場合などが挙げられます。

では、以下の作品の場合はどうでしょうか。
<集中型>の写真

この作品を分散型で撮影してみると、下のようになります。
<分散型>の写真

いかがでしょうか。
クラゲの作品は、パステルカラーの淡い色合いが特徴的で、分散型の方が作品のゆるく・淡い世界観を伝えることができるのではないでしょうか。
POINT:上手くいく配色とは?
配色配色が上手くいく方向性は2つあると考えられています。
1つ目は同系色を使い「似た色でまとめていく」こと、2つ目は、反対色を使用して「引き立て合う」ことです。
今回のクラゲの作品は、クラゲ同士が話している/泳いでいるような柔らかいイメージを伝えるために、分散型の方が適していると考えることができます。
応用2:作品が目立つ! 写真の編集への応用
そして最後に、『絵を見る技術』で学んだ、フォーカルポイントを目立たせる方法を応用して、写真編集解説をしていきたいと思います。
フォーカルポイントを目立たせる方法
フォーカルポイントを目立たせるには、明暗をはっきりさせるなどの方法もありますが、「リーディングライン」と言われるメインなどの重要な箇所に向けて視線を誘導するラインを引くと効果的です。
リーディングラインには、矢印などの直線でメインに目を誘導させる他、単純な図形の中に焦点を入れることでも目立たせることができます。
例えば…!
emoでの過去編集例1
例えばこの写真…!フォーカルポイントであるイヤリングへ、自然と誘導される仕掛けが施されています。

どんなところに、その仕掛けがあると思いますか。
正解は↓↓

実は、平行四辺形で、その一つの角に作品を配置し、作品にきちんと視線がいくように工夫しています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください!

emoでの過去編集例2
そして、実はこの一枚の写真には、作品に目が行くための様々な仕掛けが施されています。

別記事にて詳しく解説がさせていますが、簡単に解説させていただこうと思います。
↓詳しい解説はこちら!

まず今回は、背景の緑をタイルのように仕上げました。
そして、そのタイル同士の狭間の白い線を辿ると…!
ハンドメイドのアクセサリー作品に皆様の視線が不思議といくようになっています。(ちゃんと、モデルさんの左耳に近い白線は太めになっており、アクセサリーが強調されています。)
また、下記写真のような三つの丸(丸い形の貝のアクセサリー作品、モデルさんの手で作った丸、背景の赤)で作られた、三角形のバランスにより、作品に視線がいくようにと考えています。

このようにプロの画家や写真家でなくても、視線を誘導させる工夫はできるのですね。
作品やメインの対象物だけでなく、写真や絵画全体を見渡すことで、そこにどんなメッセージが込められているか考えられると、より楽しくなりますね。
いかがでしたでしょうか。
朝日出版社の秋田麻早子さん著『絵を見る技術』から学んだ作品の写真撮影方法と編集。
名画は「究極の広告」です。だって、目をとらえて放さないのだから…!
色彩のことやメインをより際立たせる方法など、盛り沢山の本なのでぜひチェックしてみてくださいね!
文/imacoro
紹介した本:朝日出版社の秋田麻早子さん著『絵を見る技術』